転職して,,,将来を担うエンジニアを育成する立場になりました.要は教員ですね.
さて,そんな中自分が目指す教員像を色々考えています.単に知識を「教える」だけの教員にはなりたくない,学生が「育つ」ようにアシストしたい,,,私にしかできない教員とはなんだろう??
そんな悩み(?)を抱えています.
さて,そんな折私に単発の講義の指示がありました.テーマは「工学倫理」・・・・
とても難しい題材です.一般に工学倫理というと,「○○という事件があって,これにエンジニアがこうやって関わった.これは悪いことだから,やめようね」的な抽象論しかできないです.つまらん.
考え抜いた上で題材に選んだのは「裁判」.私が以前関わったPL訴訟をテーマにすることにしました.
生きた題材を使うことで臨場感が増すのは当然の効果なのですが,この裁判でいくつかキーになったポイントを考えてもらおうと思っています.
この裁判はある女性が被害者です.卓球台の構造上の欠陥により200kg近い台が転倒し,足を骨折する大けがをしたものです.日本の裁判は「被害者が構造上の欠陥を証明しなくてはならない」というとても変なシステムになっているので,私がその構造上の欠陥を証明してみました.
で,実は「欠陥を証明する」というのは,簡単なようで案外難しい(らしい)です.キーとなる知識(点)を「これとこれは因果関係があるから」という論理(線)で結ばなくてはなりません.
書いていると長くなるので省略しますが,この裁判で重要だった「知識」は
・力学(転倒,,,ってどういう現象か?を物理的に説明する必要有り.),物理学(運動方程式)
・機構学,および幾何学
・法規,規格
・数学(微分方程式の導出)
・計算工学(微分方程式の数値解析のため)
・人間工学(人間の反射動作の時間)
・工学倫理
・・・・etc
これらの知識(点)を元に論理構成(線)を考えて,製品欠陥を証明する必要がありました.
今の教育現場では(昔から???)点に注目していて,「線」を意識することが少ないのでは?と思います.
学校の教育では自分自身を振り返ってみてもほとんど「点」しか教わらなかった,,,そういう授業はつまらなかったです.でも線を意識した授業(物理←数学)は大ヒットでしたね.面白かったです.自分が学んでいる知識が「こういうつながりがあるんや」って発見すると面白くって.
そういう面白さをまず「工学倫理」の講義で伝えられるように考えてみます.しばらく眠れないかな・・・?
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