2007年7月23日月曜日

万年筆

今年に入って,母親から万年筆を貰いました。私が物心ついた頃にはすでに母は使っていたので,かれこれ40年ぐらい経つものでしょう。プラチナのカートリッジ式で安っぽそうな外観とは裏腹にペン先は14金です。(母は今は別の万年筆を愛用しています。)貰ったときにも既に10年以上使われていなかったのでインキは出ない,かすれるなどのトラブルはありましたが,丁寧に水で洗浄したら十分に使えるようになりました。
元々万年筆は私のあこがれの文房具でした。何故あこがれであったか,それは万年筆を持つと何だか書道をするような感覚になり,適当に文章を書こうという気がしないからです。真面目にお付き合いしないと言うことを聞いてくれないからです。
私は字が下手です。ですから,字を書くことが非常に苦痛でした。また上手に書こうとしても書けないので最近はワープロに頼り,自筆で文字を書く気もしなくなっていました。しかしこの万年筆を貰ってからというもの,自分で文字を書くことが非常に面白くなってきました。
そもそも私が文字を書くのが嫌いな理由の一つに「筆圧が低い」というのがあります。ボールペンやHBの鉛筆,シャーペンでは非常に疲れます。この点,万年筆は適度な筆圧のコントロールが必要ですが比較的筆圧は低くて良いのです。もっともボールペンの様にぞんざいに書くことは出来ませんしシャーペンのように芯の硬度でごまかすことも出来ません。この点貰った万年筆は私にとってちょうど良い筆圧で書くことが出来,少し字を丁寧に書く意識が高まった気がします。筆圧のコントロールには非常に良いトレーニングになります。
もうすぐ技術士の第2次試験です。もちろん試験官に自分の論文を読んで貰うわけですから上手下手よりも,「丁寧な」文字を素早く書くことが要求されます。この万年筆と出会ったおかげで,文字は上手くはなりませんが「丁寧に」書くことの楽しさをも貰った気がします。
 余談ですが数年前,家内にもシェーファーの万年筆をプレゼントしました。シェーファーは吉田茂が日米安全保障条約の締結式にサインした際に使った万年筆のメーカです。

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