2007年7月27日金曜日

巡り会い

 私は趣味でヴァイオリンを演奏します。随分前ですが、この片田舎に偶然にも私の楽器の制作者の師匠、弟子の楽器がそろう珍しい機会がありました。
 私の楽器はMario Gadda(イタリア、Mantova在住)という人の作品で1953年のものです。(彼が18歳の時の作品です!!)師匠は父のGaetano Gadda氏、弟子はTestoni氏で、上の写真の右から順に、GG,MG,Tの作品となります。よく見れば、(他の楽器と比較しないとわかりにくいですが)作風が非常によく似ています。ちなみに私の楽器は師匠であるGG氏のラベルと刻印がありますが、明らかにコピーで、細かい細工も若い職人さんが作った、というのがよくわかる楽器です。
 実際弾き比べたところ、音質は非常によく似ていました。野暮な話ですが、楽器の値段も親、本人、弟子の順で違います。実はGaetano Gadda氏の師匠は、名器の制作で有名なScalanpeller氏で、この人の楽器はおおよそ1000万円弱もします。私の楽器は・・・内緒です。
 イタリアの楽器は「ブランド料」が含まれるので、同じ実力の楽器に比べて高いと言われることがあります。確かにその側面を持った楽器も存在します。しかし私がこの楽器に巡り会ったのはほんの偶然でした。これより高い楽器でも、自分には何故かしっくり来ません。安い楽器もしっくり来ません。この楽器だけが自分の表現したいことを全て引き出してくれるような気がしました。そう、直感です。
 私のヴァイオリンの師匠であるS先生も「楽器は巡り会いだ」と常々おっしゃっていました。ですから少し衝動買いには近いものがあるかもしれませんが、実は少し違います。衝動買いは自分の欲求の赴くままに購入します。楽器の場合は、日頃から聞く耳と自分の実力を把握しておかねばなりません。そして、「これだ!!」と思った楽器は思い切って買う、この違いがあります。
 イタリアンには憧れもありました。でも、私がこの楽器に巡り会ったのは「ブランド力」ではなくやはり「偶然」です。そして親子3代(血縁関係だけではないですが)の楽器がこの小さな街で巡り会ったのもやはり「偶然」です。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

morinokuma3715様
Mario Gaddaを所有されているとのことでしたのでブログを拝見させて頂きました。3人の師弟の作品が揃うとは大変珍しいことですね。私は他の方のブログでMario Gaddaを知りましたが、その方の楽器には裏のボタンに刻印が在りました。morinokuma3715様の楽器にもその様な刻印が在るのでしょうか? その作者は師匠の刻印を使う事もあったと聞いています。いったい何種類の刻印を使っていたのでしょうか。もしご存知でしたら教えて下さい。最近、刻印のあるヴァイオリンに関心があります。どうぞよろしくお願い致します。(Mari)

morinokuma3715 さんのコメント...

コメントありがとうございます。
写真で説明したいので、最新の記事にUPします。
是非ご覧下さい。
(2009.8.26)