2007年11月29日木曜日

2次元設計

さて、今日(かな?)会社に無料のエンジニア向け雑誌が届きました。その中で少し気になる記事をみつけましたので紹介します。長いので章立てとポイントのみ。

タイトル:
設計情報の見える化と3次元図面(第11回2次元設計続けられますか)

3次元設計へ移行しない製造業
 3次元設計を推進する是非論は10年以上前のことであり、過去の話題である。しかし未だに推進に成功するために、とか2次元設計の利点とはなどといったテーマのセミナーが頻繁に続けられているのも事実である。

2次元設計を続けられるか
 3次元設計へ移行していない製造業の方に理由を尋ねると「現状の2次元設計で問題がないから」という答えが多い。しかし「2次元設計を続けられる裏付けを持っていますか」と問うとハッとする人が多い。

2次元設計を続けるための条件
 ①2次元設計のままで史上競争に負けないという裏付けを持てるか?
 ②社内外で問われる「何故2次元設計のまま?」への答えが容易できるか?
 ③2次元設計が出来る設計技術者の確保が出来るか?
 ④2次元CADシステムの確保が出来るか?

3次元図面の普及と2次元設計
 3次元設計では出力がViewerを表現手段とした閲覧方法が図られる。
 その結果、3次元による見える化が実現する。
 川下の工程でどのような評価が下されるかがポイントである。それは前述①~④の観点で考えてみてはどうか。

3D単独図ガイドライン発行
 JAMA、JAPIAによる3D単独図のガイドラインが発行された。それにより、3次元図面の実態を認識できる。
さて、私はどう考えるか?
◇まず、筆者は「設計とは何か?」について全く理解していないと思いました。
2次元設計vs3次元設計、とはいうものの、それは2D-CADを使っているか3D-CADを使っているかの設計の道具の違いであり、「設計」の議論ではないと。
まあこの手の勘違いはよくあるので、立体形状を表現する(筆者のいう3次元設計)か、3方向の平面で表記するか(同、2次元設計)、の違いを指していると仮定しましょう。
◇2次元設計を続けられることの裏付け、に関してハッとする、というのは論旨のすり替えであるように思いました。逆に問いたいです。
3D設計を続けられる裏付けを持っていますか?と。
◇2次元設計を続けるための条件に対する反論
①市場競争力は「設計の本来持つ技術力」であり、CADに依存するものではない。従って、従来2D-CADを使って設計した結果がたくさんある業種では、2次元設計を続ける価値が十分ある。
②社内外で「何故2次元設計のまま」の問いに関していえば、投資対効果を考慮して、と言うのが経営的には正しいと考える。決して顔色や流行でシステムを選定すべきではない。(顔色伺い、が動機だと大体において失敗しているように見受けられる。)
③設計の人材はCADに依存するものではない。2次元CADが扱えなくて、3次元CADが扱えてもそれはオペレーションの問題であり、「設計人材」の確保とは論点が違う。
④システムは確保できる。実際私は、約20年ほど前のJW-CADを未だに保有している。莫大な2D-CADの資産を持つ企業が多いなかで、2D-CADシステムが衰退することはありえない。(3D-CADシステムの中に統合される可能性はあるが)
◇Viewerを表現手段とする、とあるがこれは明らかな間違い。あくまでも紙と鉛筆の世界が持続する。
例えば現地でトラブルが発生し、緊急に対処せねばならない場合、3D-CADやViewerを絶対に持っていることがあり得るのか?
定規とコンパス、紙を文具屋かコンビニで調達し、手書き図面を書いて部品を作ってもらうなどという話は良くあるし、私自身も頻繁に経験した。
(残念ながら、筆者はお客の前で図面を描かされる、という経験をしたことがないと推定されますね。)
◇素朴な疑問
 ・2次元設計と3次元設計のいわんとすることがよくわからない。表現の手段としては、エンジニアが選択すれば良いだけの話であり、「設計論」ではないのでは?
 ・「見える化」って何ですか?2次元図面は「見えない」ですか?
 ・JAMA、JAPIAの3D単独図の思想はあくまでも「データに従来2次元CADで持たせていた情報をどのように持たせるか」の議論であると思う。従って、これのみで「業界の動向」を判断するのは危険では?
総括(意見)繰り返しになるかもしれませんが・・・・
・まず「設計論」として議論するステージが違う。
・紙と鉛筆で表現するのが基本原則。それを如何に効率や儲けなどを考えてやるか、で道具の選定は異なる。
・エンジニアを自称するならば、「2次元図面」の作図、読図ぐらいは最低限の常識として知っておくべき。そういう人材が確保出来ないなら・・・・潰れますね。
・2次元CADを使い続けるには、それ相応の理由がある。何がなんでも3Dという発想は非常に危険。
私だったら、こういう文章は書けませんね。ちなみに筆者さんは某医療装具関係メーカの方で、私も将来お世話になる可能性のある製品を扱っています。でも、この会社のだけは遠慮しときます。
コピーが必要な方はメールかコメントで。
では。

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