2007年10月29日月曜日

機構解析、機構総合

今日はちょっと真面目な話題です。専門用語もドンドン出します。字数も気にしませんので悪しからず。

今月発売のCAD&CGマガジン(12月号)で、以前このブログで取り上げた夏休みセミナーを題材にして「二足歩行ロボットで学ぶ本当の設計力」という特集が組まれています。
(私も少しばかり顔写真が出ているのですが・・・それは良いとして。)

読んでいて気になることがありました。まず、機械を設計するときに、どのように動かしたいかタイミングチャートが書けない、さらにタイミングチャートから機構を思いつくことが出来ない、という人が非常に多い、という事実でした。これはこの記事の中だけでなく、実際の製造現場で起こっている事実です。

私の大学時代の専門は「機構学」でした。機構学というと歯車、カム、リンク、ねじなどの機械要素の「解析(analysis)」を主体とする学問というイメージがあるかもしれません。
しかし実際は逆の問題も扱い「動かしたい対象に対してどのように寸法などの機械的諸元を決めていけば良いか」というのも研究しています。これを(正確ではないですが)機構の総合(synthesis)と呼びます。(総合と訳するのは少し語弊がある気もしますが・・・)
私は機構学の単位を取得した機械工学専攻の人にとっては「総合=synthesis」という用語は常識だと思っていました。私の教科書には結構詳しく書いてありましたし・・・・
しかし現実は・・・・社内で廻りにきいてみたら、ほとんど知りませんでした(@@)
廻りの設計者が持っている「機構学」の本を片っ端から読んでみると、「総合」に関する記載はほとんどなし、既に存在する機構の解析に注力された専門書ばかりでした。(元々あまりこの手の専門書の日本語は読まず、外国語の文献ばかり読んでいたので、日本の実情を知りませんでした。)
そうか、だから既存の構造から解析しようとするんや・・・
上の写真は、「機構の総合」に特化した専門書です。(私のバイブル)

機構学の一番基本となる機構は4節リンク機構といいます。社内の自主勉強会で発覚した事実ですが4節リンク機構が「回転・揺動」運動になる条件(グラスホフの定理といいます。)すら知らない人がいっぱいいました。たぶん彼らは「自由度」とか「対偶」なんて言葉も知らないのだろうなあ・・・(疑いすぎ??)

機構の総合は上記写真のように一冊の専門書になるぐらい奥の深いものです。でも・・・設計者としてはカジリでも知っておいて欲しい「知識」です。
ちなみに、ネットで「機構解析」と検索するといっぱい機構解析ソフトがヒットしますが、「機構総合」と検索すると、ほとんど欲しい情報に行き当たりません。
もっとも解析ソフトはいっぱいあるのに、総合ソフトはない、だから研究対象になるのですがね。うーん・・・T先生、H君、頑張ろうね。

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