2008年10月24日金曜日

ヴァーチャルリアリティ

今日,ヴァーチャルリアリティ技術を利用したソフトウェアのデモンストレーションがありました.
「設計上流過程で作成されるネイティブ3次元CADデータをダイレクトに取り込み 高精細な描画をリアルタイムで行い,質感評価・視認性確認・組付け検証などを行う 多彩な機能を搭載した デジタル評価検証支援ツール」なのだそうです.(カタログはこちら
昔はこういうツール,大好きでよく食らいついていました.でも最近ものすごくつまらなく思うようになりました.このソフトウェアを使って,何か役に立つの?デモを見たり,説明を聞いても何だか「ソフトウェア屋の自己満足で作ったプログラム」にしか思えなくなりました.

このソフトウェア,説明が非常に難しいですね.
端的に言えば,「ヴァーチャルリアリティ」という技術を使って,あたかも実体が存在するかのような仮想的な感覚(視覚,触覚)を再現し,質感・視認性・組付けの検証を行うことを目的としたソフトウェア・・・なのかな?うーん,日本語がイマイチだ(><)

質感って何?視認性って何?組付けの検証って何????デモンストレータの説明では定義がしっかりしていなかったです.「感覚」なんですよね.「感覚」では設計は出来ないです.それを「設計上流過程で作成される~」か・・・・使えない筈ですね.
以下やりとりの一部をお聞き下さい.(デはデモンストレータ)

私:検証のツールと説明がありましたが,検証の結果はどのように評価するのですか?
デ:個人の感覚です.
私:それではみんなが納得できないですね.みんなが操作して「納得」しないと設計が終わりませんね.

私:このソフトウェアの売りを説明して下さい.
デ:自社開発なので,お客様のニーズに合わせて色々カスタマイズが出来ます.(???)

私:重量・重心はどうやって再現するのですか?
デ:重量はCADで求めた重量を手入力します.重心もCADで求めた重心位置を手入力します.
私:そんな面倒なこと出来ないですね.

私:このソフトウェアを我が社に導入した場合の想定されるメリットは何だとお考えですか.
デ:組立性の検証に使えるので,手戻り(不具合)が減ると思います.(それだけ???)
私:組立性,安全性,視認性,,,色々な言葉が出てきましたが,「感覚」を数値に置き換えなければ「検証」できません.このシステムは「感覚」を再現できるのかもしれませんが,操作した人にしかわからないので,評価が極めて主観的になりますね.「これで良い」という上司の承認はこのシステムでは得られません.

まだまだいい足りなかったけれど・・・これぐらいで止めておきました.イヤな客だったでしょうね(^^;)

追記)
◇このデモ,最初の説明で「ダメ」だと思いました.理由です.
最初に設計から製造のプロセスの話がありました.その中で一番最初に「商品企画」「デザイン」という言葉があり,次に「設計」という言葉が出てきました.デザインと設計,理解していないと思いました.(CADデータもNGでしたけれど・・・)

◇人工現実感を表現する技術は私が学生の頃,すでにありました.(NECの研究所で見せてもらいました)ハードは進歩したけれど(当時はDSPを使っていたが今はワークステーションで動く)本質は何も進歩していないと感じました.
もちろんソフトも進歩していないです.触覚の制御には「コンプライアンス制御」を用いますが,これも今となっては「枯れた」技術です.
なので何も目新しさを感じませんでした.

◇コンピュータの表示能力は非常に高い性能を要求されるそうです.でも・・・OSはVISTAで,「五月蝿い」アニメーション機能をOFFにしていませんでした.何だかな~

2 件のコメント:

tti さんのコメント...

自動車ディーラへ行って、販売員さんにこのクルマのコンセプトなんて聞きますか?

聞かないでしょう。聞いても応えられないし。

同様ですよ。販売員さんor販売補助をしているエンジニアに質問しても 明確な答を得られませんよ。

morinokuma3715 さんのコメント...

うーん,そりゃそうですね.
ただ,,,このソフトウェアを使ったらどういうメリットが得られそうか,程度は説明して欲しかったです.