2008年6月3日火曜日

地球温暖化問題懐疑論へのコメント

今年の国土交通白書が発行されました。技術士試験は主にこの白書を参考にする,との噂があって(実際白書からもよく出題されるようです。)このところ,地球温暖化問題に対して,ネット検索や書籍を読んでいます。
しかしながら,,,,まともな意見がなかなかないですね。
今日ご紹介するのは,その中の一つです。本文はここ
地球温暖化問題懐疑論者への反論を目的とした「専門家」の文章ですが,よく読むと支離滅裂な論理展開であることがわかります。同じ土俵に立って議論するまでもないのですが・・・・数点気づいた点を横やり入れますね。(^^);

◇温暖化問題における合意:議論1の反論について
反論1:
・一個人の意見がすべての意見を代表するものではない。→でも,元議長は京都議定書に反対しているのですよね。

・Global Climate Changeというキーワードで検索したら,温暖化に対する人為的な貢献の存在を否定しているものはなかった。→キーワードが一センテンス,というのは少なすぎるでしょう?文献検索には複数のキーワード検索をするのが「通例」です。

・世界の学術団体が共同で声明を出している。少なくとも世界および米国内のアカデミアでは「合意はある」とする方が状況認識としては正確である。→リンクを見ました。G8諸国+3ヶ国の合計11ヶ国のみの合意ですね。国連加盟国は191ヶ国。その1割にも満たない,たった11ヶ国の合意が,「世界の状況認識として正確」とは・・・論理が飛躍し過ぎでしょう。

このページの脚注4もおかしいです。上記リンクでは「世界の科学者,技術者,etcが共同でこの問題を解決すべき」と述べています。ならば懐疑論者の意見も十分に吟味すべきで,疑問に対して論理的に説明をするのが,学者としての最低限のマナーです。「何とも答えようがない」は,すでに議論をしようという気がないと考えられます。

温暖化問題のサイエンス
反論(証拠1の):「図の見方,解釈の仕方がおかしい」なら,グラフを書いた人が悪いです。誤解を招く書き方をしているからです。
反論(証拠2の):IPCCでも「周期的イベント」については議論されています。(ミランコビッチサイクルとの関連)周期イベントの議論が不要,との議論はこれすら否定しています。
反論(証拠3の):「と考えられる」に対する論理的な詰めがないです。

もっともおかしいのが脚注11の「二酸化炭素だけが地球温暖化の原因とは誰も言っていない」と述べている点です。誰も言っていないのに,世論(少なくとも日本において)は「二酸化炭素だけ悪者説」で傾いています。それは違う,と言えばよいです。しかし,筆者自身も「二酸化炭素が原因で,温度が結果」と述べているので,誤解しているようです。

ああ・・・疲れたので,もうやめた。
ようは,こんな枝葉の議論で喜んでいるのね。(それにつき合った私も暇人だが)

まあ,早い話,懐疑論者であろうと確信者であろうと,本質を探って何かをしよう,というのではなくて,単なる水掛論をしているだけ,のような気がしています。

人為的な活動により温暖化が進んでいるならば,何をどうすればよいのか?
という本質的な議論がないことです。
これについては,書店で見つけた本に,解剖学者の養老先生も同じ事を述べていました。
権威を借りるつもりはないけれど,同じ事考えてんのやなあ,と・・・・

0 件のコメント: