2008年3月26日水曜日

母校訪問(2)

私の母校の研究室は機能システム学講座、といって元々機械要素研究室という名称でした。
機械要素・・・から機構の総合へ、と研究テーマが変遷していったので、現代風に名前を変えたようです。HPを見て頂ければわかるように、色々なロボットの研究もやっています。
それが縁でロボットメーカに就職する人がたくさんいます。
さて、先のOB会でそのメーカに勤務する人と最近のロボットの動向についてお話をしていました。
私たちが研究室にいた頃は「位置繰り返し精度」といって、如何にばらつきなく同じ位置に戻るか、というのがトレンドでした。当時たしか0.1mmぐらいだったかなあ?
私たちの研究室で開発したロボットは「パラレルリンク機構」という構造を用いていたので位置繰り返し精度はもう一桁精度が良かったのだけは覚えています。
昼間に計測すると近隣の国道を走る車の影響で測定誤差が大きくって、夜中車通りが少なくなってから測定していました。(それぐらいシビアだったんですよ)

最近は「絶対精度」といって、ある空間の中に一発で絶対座標系の位置が決まらなければならないそうです。詳細は聞いてないので知らないですが、XYZ軸方向で従来は±10mmぐらいあったのが、お客様の要求で±0.8mmととても厳しい条件になっているんだそうです。ふーん。

さて、人間はどうなんやろ?
先日のヴァイオリンのレッスンの結果をふまえて少し計算してみました。
ブログで「ヴァイオリンが鳴る」という話を書いてみましたね。
どのぐらいのオーダで指の位置を決めないといけないのかな?と。
実際に自分の指を測定した結果です。
・明確に鳴る/鳴らない位置の差は大きい場所でも、約0.03mmから0.06mm(@@)でした。(高い音ほど精度が必要です)絶対精度はこのオーダ?ロボットでは実現できそうにありませんね。(本当かな?)
・だいたい鳴るかな?と思われる位置の誤差は約半分、0.015mmから0.03mmぐらいでした。
これが位置繰り返し精度なら、実現できそうです。
・明確に鳴る/鳴らない位置での周波数の差は例えばレ(D)音(約567Hz)に対して、何と0.14Hz!!

上記が簡単なメモです。(ほんとにメモやな・・・)
人間はフィードバックのセンサとして「耳」と「触感」を持っていますが、それでもすごい精度なんですね。
いや、もっと驚きはこれだけの周波数の違いを聞き分ける能力かな?
ロボットもまだまだ改善の余地がありそうです。

そうそう、先生から宣伝をお願いされてました。本の紹介です。興味のある方は是非!!私の研究室の先生やOBが総力を挙げて書き上げたテキストです。
機構の総合、に関する書籍としては日本にはこれ以上詳しい本はないです。(きっぱり)

2 件のコメント:

tti さんのコメント...

おはようございます。
 人間は絶対的な知覚は不得手です。相対的な変化を捕らえるのは得意です。(敏感な人は初期値の1/120くらいの分解能を有するそうです)さらに、変位を捕らえるのも苦手です。板の表面の凹凸を調べる際に、手で撫でることがあります。これは凹凸を撫でることで、力の変化を知覚し、その変化で凹凸があると認識しています。
 なので、人間に繰り返し位置決め精度を期待しないでくださいね。余談 長くなってしまいました。ごめんなさい。

morinokuma3715 さんのコメント...

知りませんでした。でも人間の身体って不思議ですね。
きさげの職人さんが、加工機械では出せない精度で仕上げをできる、なんて話をよく聞きますがどういう感覚なんでしょう?
一度じっくり現場を視てみたいものです。